納骨棚の現場の帰り道、ごく普通の喫茶店に立ち寄り、ここで鰻丼を食べる。約3年半前、納骨棚の第一期工事の際に、たまたま昼食時に立ち寄った喫茶店。今は亡き若手職人の田中君と当時1000円だった鰻丼を食べてみた。「美味い!」二人で顔を見合わせた。

今回は二期工事となり、時間的にも都合をつけて立ち寄った。


値段は2160円と、かなりの値上がり具合だが、単品の鰻丼ではなく、鰻重になっていた。しかしながら、前回食した味であれば、この金額でも決して高くはない。親父と2人前だと少々の出費だが、安月給で働いてくれている感謝も込めて、奮発してみた。

焼き方は関西風。蒸さずに備長炭の炭火で焼く。
鰻はふわふわ、裏の皮がカリッとした食感があって何とも心地よい。
タレにもこだわりがあり、紀州の湯浅醤油で味付けされている。
濃厚でご飯にもよく絡み、なんとも美味。

なんとなく添えられていた一品だったが、これにも驚いた。
食べたら、やはり筍なのだが、青みが掛かっている割には、柔らかく、味付けも美味い。
これは、ただの筍ではなく、東北産の淡竹という代物らしい。


見た目は喫茶店だが、食に関してのこだわりが半端なく、創業以来40年程度の歴史を持っているらしい。
地方の食材の吟味から、味へのこだわり。
元をただせば、創業者は脱サラ組だそうだ。
専門的な料亭にいたわけでもなく、その手の学校を出たわけでもない。日々、目の前の食材と向き合って、ただ単純に美味い料理の追及が料亭にも負けない味を獲得したのだろう。
本物は強い。